2011年3月26日土曜日

<黒川文雄のサブカル黙示録>生田斗真と涼宮ハルヒ 異業種タイアップの可能性

 ある日テレビを見ていると、生田斗真さんが出演しているCMの演出に驚きました。ある種のカルチャーショックを覚えたと同時に「いい時代になってきたな」と思いました。

 それは、ロッテのガム「ACUO」のCMです。生田君がガムをかみながらショップに入り、買い物をするというシチュエーションなのですが、彼のため息でショップの店員が「涼宮ハルヒ」に登場するキャラクターに変身する……というものです。

 まずは、ヒロインの一人、朝比奈みくるに変身し、続いて涼宮ハルヒ、長門有希になるという設定でした。今回のCMにおいて重要な役割を演じる「涼宮ハルヒ」ですが、ヒットコンテンツに間違いはありませんが、国民的に認知されたメジャー?コンテンツではありません。メジャーにこだわるのであれば他にもあったことでしょう。にもかかわらず起用されたのは、広告を制作するクリエーターや発注したクライアントが、「涼宮ハルヒ」などのコンテンツに共感する世代に変わった証しではないかと思うのです。

 時代が変わりつつあるということを、世相を映す鏡のCMという側面からうかがい知ることができました。または、オタクやオタク系コンテンツが市民権をもったというよりも、オタク層を顧客ターゲットとしてとらえた上での展開として注目すべきものなのではないのでしょうか。

 このCMは、少し前に話題になった男性化粧品ギャツビーの「木村拓哉」とフットボールアワーの岩尾が共演したものとも共通な感じがします。CMには「○○を使えばカッコよくなれる。モテる」という幻想を醸成する演出があります。そこに加え、今回は「涼宮ハルヒ」を知るオタク層をピンポイントで狙っています。ACUOのCMの生田君は、視聴している自分の分身であり、ため息で相手を悩殺するという点は、実にアニメチックな演出といえそうです。

 確かに、モノが売れない現代社会において、オタク顧客たちの消費購買行動はケタ外れのパワーがあります。先に述べたようにオタクが市民権を得たというよりも、あえてオタク層に訴求したのが今回の展開ではないでしょうか。

 セガにいたときに、「ゲームソフト」の中に企業のスポンサーロゴを掲出したり、ゲーム「ファイティングバイパーズ」に、ペプシコーラのキャラクターだったペプシマンを登場させたこともありました。そのときも話題になりましたが、今は「メタルギア」シリーズでのダイナミックな展開が話題になっていますが、それ以外の事例はあまりないようです。

 今回のCMがきっかけとなり、アニメやゲームといったコンテンツとその他の異業種とのタイアップ告知展開が増えることは喜ばしいことです。いつかは異業種タイアップなどといわれず、極めて普通の展開として視聴者購買者に受け入れられるときがくることを楽しみにしています。

◇筆者プロフィル

くろかわ?ふみお=1960年、東京都生まれ。84年アポロン音楽工業(バンダイミュージック)入社。ギャガコミュニケーションズ、セガエンタープライゼス(現セガ)、デジキューブを経て、03年にデックスエンタテインメントを設立、社長に就任した。08年5月に退任。現在はブシロード副社長。音楽、映画、ゲーム業界などの表と裏を知りつくす。

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引用元:RMTなら迷わずN.E.W!RMT

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